法人パソコンを安全・適切に処分する方法とは?
ルールや注意点を詳しく解説
2025.11.28(FRI)
2025.11.28(FRI)
法人パソコンの処分におけるルールは、個人で使用するパソコンの場合と異なります。法人から排出されるパソコンは産業廃棄物として扱われるため、廃棄物処理法に基づいた適正な処理が求められます。そのため、処分における法人の責任や、マニフェストなどについて理解しておくことが大切です。ルールを遵守しないと、法的責任や行政上の責任、民事上の責任が問われる恐れがあります。この記事では、法人パソコンの処分方法や一般的な流れ、処分する時の注意点を解説します。法人パソコンを安全かつ確実に処分したい企業様は、ぜひ参考にして下さい。
法人パソコンを処分する前に理解しておくべきルール
法人パソコンを処分する際には、産業廃棄物処理法や排出事業者責任などを遵守する必要があります。これらに違反すると、法人も責任を問われるため注意が必要です。ここでは、法人パソコンの処分で理解しておくべきルールについて解説します。
事業者が責任を持って処分する必要がある
法人が排出したパソコンは、その法人が最終処分まで責任を持つことが法律で定められているため注意が必要です。廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)第3条第1項では、事業活動で生じた廃棄物は自らの責任で適切に処理しなければならないとされています。また、第11条第1項では、事業者は産業廃棄物を自ら処理しなければならないと明記されており、これを「排出事業者責任」と呼びます。違法業者に委託して不法投棄された場合も、法人側の責任を問われる可能性があるため注意しましょう。許可を持たない業者に委託して不適切な処理が行われた場合、委託した法人も罰則の対象となります。
出典:環境省|排出事業者責任の徹底について
法人パソコンは「小型家電リサイクル法」の対象ではない
法人パソコンは家庭から出る小型家電と異なるため、小型家電リサイクル法の対象外です。小型家電リサイクル法は家庭から排出される小型家電のみを対象としており、事業所から排出されるパソコンは対象外となっています。従って、自治体のリサイクルボックスや家電の回収では対応できないため、誤って出さないように注意しましょう。法人の場合は産業廃棄物扱いとなり、専門業者による適正な処理が求められます。家庭用パソコンと混同しやすいため、処分方法を間違えないように確認することが重要です。
マニフェストの交付・保管が求められる
法人パソコンを処分する際は、マニフェスト(管理票)の交付と保管が法律で定められています。マニフェストは処分の流れを記録する役割を担い、適正な処理を証明するために必要です。保管義務は5年間とされているため、適切な管理が求められます。マニフェストには7枚複写の伝票が使用され、それぞれ役割が異なるため認識しておきましょう。伝票の種類は以下の通りです。
| 保管者 | 伝票の種類 | 保管期間 |
|---|---|---|
| 排出事業者 | ・A票(控え) ・B2票(運搬終了報告) ・D票(処分終了報告) ・E票(最終処分終了報告) |
5年間 |
| 収集運搬業者 | ・B1票(運搬用) ・C2票(処分終了報告) |
5年間 |
| 処分業者 | ・C1票(保存用) | 5年間 |
処分の過程に沿って各伝票のやり取りを行い、それぞれ保管します。マニフェストを交付する流れは以下の通りです。
1.排出事業者が必要事項を記入して収集運搬業者に渡す(A票は排出事業者が保管)
2.運搬後にマニフェストを処分業者に渡す(B1票・B2票は運搬業者に返す。運搬業者はB1票を保管し、B2票を排出事業者に渡す)
3.処分業者が処理完了後に各保管者に送る(運搬業者にC2票・排出事業者にD票)
4.最終処分を確認後、E票を排出事業者に返送する
5.排出事業者はA票・B2票・D票・E票を照合してマニフェストを保管する
なお、排出事業者はマニフェスト交付日からB2票・D票は90日(特別管理産業廃棄物は60日)、E票は180日以内に送付を受ける必要があります。期日を過ぎた場合は、運搬・処分の状況を把握し、法律に基づいた適切な処理を講じなければなりません。
法人パソコンは「資源有効利用促進法」が適用される
資源有効利用促進法では、パソコンメーカーに回収・再資源化の義務が課されています。法人で使用していたパソコンもこの法律の対象となり、リサイクルが義務付けられているため注意しましょう。取り組みが十分でない場合、法人も指導や勧告、罰金などが科せられる恐れがあります。
また、環境保全の観点からも、この法律を遵守し、持続可能な事業運営を心がけることが関係者からの信頼獲得につながります。法人パソコンのリサイクルは環境負荷の軽減にも貢献するため、積極的に取り組むべき課題といえるでしょう。また、この法律では部品の再利用や金属の回収も求められており、循環型経済システムの実現に向けた重要な役割を担っています。
出典:環境省|資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年4月26日法律第48号)
法人パソコンを処分・廃棄する方法
法人パソコンを処分する方法は、以下の通りです。
- パソコンメーカーに依頼する
- 一般社団法人パソコン3R推進協会(PC3R)に回収・リサイクルしてもらう
- 産業廃棄物処理業者に依頼する
- リサイクル業者に依頼する
- 法人向けの買い取りサービスを利用する
各方法について詳しく解説します。
パソコンメーカーに依頼する
メーカーが提供している回収サービスに申し込むことで、法律に沿った法人パソコンの処分が可能です。法人パソコンの場合は回収が有償となるケースが多いため、処分費用を事前に確認する必要があります。例えば、NEC・Dell・Lenovoなどのメーカーでは、専用の法人向け回収プログラムを提供しています。メーカーごとに手続きや料金体系が異なるため、事前に公式Webサイトで詳細を確認しておきましょう。中には、10台からしか申し込みができないメーカーもあります。また、データ消去サービスも併せて利用できる場合がありますが、自社で消去して処分するのが一般的です。
一般社団法人パソコン3R推進協会(PC3R)に回収・リサイクルしてもらう
PC3R協会は、メーカーが回収困難な場合の共通窓口として機能しています。原則として参加するメーカーが製造・販売した製品のみを回収しますが、自作パソコンやメーカーが既に撤退しているパソコンも対象となるため、非常に便利な選択肢です。また、マニフェストが不要な仕組みとなっており、手続きが簡素化されています。資源有効利用促進法などの法律を遵守して運営されているため、安心して依頼できるでしょう。回収申し込みはWebサイトから行えるので、日程の調整もスムーズです。ただし、データ消去は自社で行う必要があり、回収費用も発生します。
産業廃棄物処理業者に依頼する
産業廃棄物の処理業許可を持つ業者に依頼する方法もあります。契約書の締結・マニフェスト交付・適切な処理確認などの手続きが求められるため、慎重な対応が必要です。業者選定のポイントとして、許可証の確認・過去の処理実績・料金体系の透明性などを事前にチェックしましょう。例えば、Webサイトで産業廃棄物処分業の許可番号や処理施設の所在地を確認することで、信頼性をある程度判断できます。また、見積もりを依頼した時の対応なども確認し、最終的な判断をしましょう。処理費用は業者によって異なるため、いくつかの業者で相見積もりを取ると割安な所に依頼できます。
リサイクル業者に依頼する
パソコンリサイクルを専門とする業者へ依頼する方法もあります。メーカーや状態を問わず引き取ってくれる業者も多く、幅広いパソコンに対応できるのが特徴です。データ消去サービスもセットで対応しているケースが多く、情報漏えいのリスクを軽減できます。信頼できる業者を選ぶには、過去の処理実績・データ消去証明書の発行・料金の明確さ・セキュリティの高さ(ISO規格・Pマーク・ADEC取得など)などを確認することが大切です。また、リサイクル方法についても事前に説明を受け、環境に配慮した処理が行われているかを確認すると良いでしょう。
法人向けの買い取りサービスを利用する
まだ使える法人パソコンの場合は、買い取りしてもらうことも可能です。買い取りであれば廃棄コストを抑えつつリユースでき、環境負荷の軽減につながるでしょう。また、手間のかかる事務手続きも不要になるメリットもあります。しかし、古いパソコンは金額がつかない可能性があることは認識しておきましょう。買取業者を選ぶ際は、データ消去や証明書発行など、信頼性の高い業者を選ぶことが重要です。買取額の内訳などを明確に説明してくれるかも確認しましょう。処分してほしいパソコンが複数台ある場合は、出張買取に対応しているかも大切な判断材料です。
法人パソコンを処分・廃棄する時の一般的な流れ
法人パソコンの処分は社内での処分決定から最終処分まで、段階的な手順で進めることが重要です。まず社内で処分対象のパソコンを選定し、データのバックアップを完了させます。その後、処分業者やメーカーに依頼し、正式な手続きを行います。例えば、PC3R・NECに処分を依頼する場合の流れは以下の通りです。
- PC3R
1.見積もり・契約を行う(インターネットで手続き)
2.データを消去する
3.梱包をする
4.回収・再資源化処理がされる
5.請求書を確認する(Web)
6.完了報告・資産滅却報告書が発行される(Web)
- NEC
1.処分を依頼する
2.見積回収担当拠点から見積書を受け取る
3.回収作業を依頼する
4.回収日程の連絡を受ける
5.データを消去する
6.指定した回収場所で回収してもらう
7.再資源化処理が実施される
8.証明書が発行される
メーカーや業者によって回収の方法や梱包の有無など、細かい条件が異なるため確認が必 要です。
法人パソコンを処分・廃棄する際の注意点
法人パソコンを処分・廃棄する際の注意点は、以下の通りです。
- 委託業者の信頼性を確認する
- 固定資産台帳を更新する
- 会社のロゴや管理シールを取り外す
- パソコンのデータを完全に消去する
各注意点を把握することで、トラブル回避に役立ちます。
委託業者の信頼性を確認する
業者に依頼する場合、収集運搬許可証・処分業許可証の有無を確認することが重要です。収集運搬許可証は産業廃棄物を収集・運搬する業務に、処分業許可証は産業廃棄物の埋立・焼却・中間処理などに必要となります。また、過去に不法投棄などの行政処分歴がないか調べるのも効果的です。都道府県や政令市の「行政処分情報」などを確認してみましょう。見積もりが極端に安い場合も、不正処理のリスクがあるため注意が必要です。例えば、相場よりも半額以下の見積もりを提示する業者などは、違法な処理を行う可能性があります。業者選定時には許可証の写しを求め、処理実績についても確認すると良いでしょう。
固定資産台帳を更新する
廃棄対象のパソコンを台帳から除却・抹消する必要があります。処分日や処分方法を記録し、社内の記録整備を正確に行いましょう。会計監査や内部監査に備えて、正確な記録を保管することが大切です。例えば、資産番号・処分日・処分業者・処分方法などの詳細情報を記録することで、監査時の説明資料として活用できます。また、減価償却計算を終了する処理も忘れずに行いましょう。適切な台帳管理により、会計上のトラブルを防げます。
会社のロゴや管理シールを取り外す
処分するパソコンに会社名やバーコード、ロゴ、管理番号などが残っていると情報漏えいのリスクがあるため、物理的に剥がした上で処分しましょう。資産番号シールやセキュリティラベルなども完全に除去しておくと、企業情報の流出を防ぐことができます。また、取り外した記録を残すことも、有効なリスク管理になるでしょう。
パソコンのデータを完全に消去する
ファイルの削除やパソコンの初期化を行うだけでは、データが復元される恐れがあります。データ消去には、専用ソフトや物理破壊、磁気消去など複数の方法があるため、自社に合った方法を選択しましょう。
データ消去ソフトで消去する
データ消去ソフトを使用することで、複数回の上書きなどの高度なデータ消去が可能です。消去ログを保存し、社内で処理記録として残しておけば、監査時の証拠としても活用できます。法人向けの証明書発行機能があるソフトを利用すれば、セキュリティポリシーの要件を満たすことができるでしょう。例えば、NIST SP800‑88に準拠した消去ソフトを使用することで、米国連邦政府標準に沿ったデータ消去ができます。また、消去完了後には詳細なレポートが出力され、いつ・どのパソコンを・どの方法で消去したかを記録として残せます。
物理的に破壊して消去する
ストレージに穴を開ける・砕くなどの方法で、データを消去する方法もあります。部品単位で破壊しなければ、完全なデータ消去とはいえません。例えば、HDDやSSDの記録面を物理的に破壊することで、データの復旧を不可能にできます。専用の破壊装置を使用すれば、確実な処理が可能です。破壊後の金属片や基板などはそのまま廃棄せず、廃材として適正に処理しましょう。
強磁気で消去する
法人パソコンのデータ消去には、磁気を使ってデータ記録面を無効化する方法もあります。高価な専用機器が必要なので、法人向けのサービスを利用するのが一般的です。利用時には、処理証明が発行されるかどうかを確認しましょう。なお、強磁気でのデータ消去はHDDのみに対応しており、SSDなどのフラッシュメモリには効果がないため注意が必要です。
不安な場合は業者に依頼する
自社でのデータ消去に不安がある場合は、専門業者に依頼することが有効です。知識がない状態でデータ消去を実施すると、完全に消去できず情報漏えいにつながる恐れがあります。業者を選ぶ際には、消去証明書・処分証明書の有無を確認することが大切です。社内の情報セキュリティポリシーに沿って、適切な業者を選定しましょう。前述した、NISTSP800-88やISOなどの国際基準に対応した業者であれば、高度なセキュリティ要件にも対応できます。また、作業の立ち会いができる業者を選ぶことで、処理過程の透明性も確保できるでしょう。
処分にも対応!NECのおすすめ法人パソコン
ゲーミングPCというと、数十万円もする高価なものが知られていますが、実は予算15万円でもゲーミングPCを購入することは可能です。どうすれば、予算15万円でゲーミングPCを購入できるのか紹介します。
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| OS | Windows 11 Pro |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen™ 5 7535U |
| グラフィックボード(GPU) | AMD Radeon™ 660M グラフィックス(プロセッサに内蔵) |
| メモリ | 8~32GB |
| ストレージ(SSD) | 256GB〜1TB |
| ディスプレイ | 15.6型ワイドTFTカラー液晶(フルHD:1920 × 1080 LEDバックライト ノングレア) |
| 外部インターフェイス | ・USB Type-C × 1 ・USB Type-A × 2(内1ポートはパワーオフUSB充電機能付き) ・HDMI × 1 ・LAN × 1 ・ヘッドフォンマイクジャック × 1 |
| 重量 | 約2.2kg |
| バッテリー駆動時間(アイドル時) | 約15.4時間 |
グラフィックボードを選択できる「Mate J タイプMB」
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「Mate J タイプMB」は、グラフィック処理の多い業務におすすめのデスクトップパソコンです。グラフィックアクセラレータボードのIntel® Arc™ A310 グラフィックスを選択すれば、ライトな画像処理業務に対応できる他、最大6画面のマルチディスプレイの構築が可能です。さらに、最大20コアを有する高速な第14世代Intel® Core™ iシリーズを選択できる上、セキュリティ機能や保守・管理機能を強化するIntel vPro® Enterpriseにも対応しています。
| OS | Windows 11 Pro |
|---|---|
| CPU | Intel® Core™ (i7-14700/i5-14500/i3-14100/プロセッサー 300) |
| グラフィックボード(GPU) | Intel® UHD グラフィックス(770/730/710)※CPUに内蔵 Intel® Arc™ A310 グラフィックス |
| メモリ | 8~32GB |
| ストレージ(SSD) | 256GB〜1TB(暗号化機能付) |
| DVD/CDドライブ | DVD-ROMドライブまたはDVDスーパーマルチドライブ |
| 外部インターフェイス | ・USB Type-C × 2(本体前面×1) ・USB Type-A × 8 ・HDMI × 1 ・DisplayPort × 2 ・LAN × 1 ・ヘッドフォンマイクジャック × 1 |
| サイズ(幅×高さ×奥行) | 216×345×298(mm) |
法人パソコンの処分はルールを理解して依頼しよう
法人パソコンの処分は、ルールを理解した上で適切に処分することが大切です。産業廃棄物として扱われる法人パソコンは、家庭用パソコンとは異なる処理方法が求められ、排出事業者責任を負います。メーカー回収やPC3R協会、産業廃棄物処理業者、リサイクル業者、買取サービスなど、複数の処分方法から最適な選択肢を選び、マニフェストの交付や委託業者の信頼性確認を怠らないことが大切です。また、情報漏えいを避けるために、データ消去も確実に行いましょう。NECでは、自社製パソコンの回収・処分に対応しています。企業向けのセキュリティに優れた製品も販売しているので、ぜひ公式サイトで詳細をご確認下さい。
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