AIパソコンとは?
既存パソコンとの違いや導入メリットを詳しく解説
2024.11.22(FRI)
2024.11.22(FRI)

AIパソコンは、人工知能(AI)処理に特化したNPUを搭載した次世代のコンピューターです。AIパソコンを活用することで、AI機能の高速処理や業務効率の向上が期待できます。従来のパソコンとは異なり、複雑なAI処理をローカルで行えるためクラウドサービスに頼らず高度な作業が可能です。
この記事では、AIパソコンの定義や特徴、従来のパソコンとの違い、ビジネスでの活用事例、そして選択時の注意点まで幅広く解説します。AIパソコンの可能性と課題を理解し、自分に必要なデバイスであるか検討してみましょう。
AIパソコンにおける最新の定義・要件とは?

AI(人工知能)パソコンとは、AI機能の活用に優れた性能を発揮するパソコンのことです。従来はAIを活用できるパソコン全般を指していましたが、現在は定義が定められています。ここでは、AIの概要とAIパソコンの定義について解説します。
そもそもAI(人工知能)とは
AIは、人間のような思考や判断をコンピューターで実現する技術です。機械学習やディープラーニングといった手法を用いてデータから学習し、判断や予測を行います。機械学習は、大量のデータから規則性やパターンを見つけ出す技術であり、ディープラーニングは、人間の脳の仕組みを模した多層のニューラルネットワークを使用した技術です。近年では、生成AIの発達によりAI活用が一般化しつつあり、業務効率化や技術開発などさまざまな用途で利用されています。AIパソコンは、これらのAI処理を本体で実行できる高性能なデバイスです。画像認識や自然言語処理などの複雑なタスクを、外部サーバーに頼ることなく高速に処理できます。
定義1|NPUを搭載している
NPU(Neural Processing Unit)は、AI処理に特化した専用プロセッサーです。従来のCPUやGPUと比べ、機械学習やディープラーニングのタスクを効率的に処理できます。NPUは、大量の並列計算を高速に実行し、AIにおける演算の迅速化に貢献します。これにより、画像認識や音声処理などのAI機能をリアルタイムで実行可能です。AIパソコンは、AIアプリケーションの性能が大幅に向上するNPUの搭載が必要になります。
CPU・GPU・NPUそれぞれの役割は?
CPU(Central Processing Unit)は、パソコンの全体的な処理を担う「頭脳」であり、「中央演算処理装置」とも呼ばれます。例えば、文書作成やWebブラウジングなどの一般的なタスクの処理は主にCPUによるものです。GPUは画像処理に特化したプロセッサーで、3Dグラフィックスの描画や動画編集などを高速化します。PCゲームの美しいグラフィックスは、GPUの力によるものです。
NPUはこれらと異なり、AI処理に特化しています。機械学習モデルの実行や推論を高速に行い、CPUやGPUでは効率的に処理できない複雑なAIのタスクを担当します。AIパソコンは、これら3つのプロセッサーが連携し、多様な処理を効率的に実行するデバイスです。
定義2|Copilot in Windowsに対応できる
AIパソコンはCopilot in Windowsを搭載しており、オフラインで活用できます。Copilot in Windowsは、Windows OSに搭載されたAIアシスタント機能です。ユーザーの日常的なタスクをサポートし、生産性を向上させます。AIパソコンは、この機能を最大限に活用できるよう設計されているのが特徴です。
例えば、文書作成時にCopilotが文章の推敲や要約を行い、作業効率が上がります。また、ラフスケッチから、完成度の高い画像を生成することも可能です。さらに、プログラミング作業では、コードの自動補完や最適化に活用し、開発速度を加速できます。AIパソコンは、ユーザーの創造性や効率性を向上させるCopilot in Windowsを、オフラインで高速処理できるデバイスです。
定義3|Copilotキーを搭載している
Copilotキーは、AIアシスタント機能へのアクセスを簡略化する専用キーです。このキーを押すだけで、Copilot in Windowsを即座に起動できます。例えば、文書作成中にアイデアが必要になった時、Copilotキーを押してAIに質問すると、関連する情報や提案を得られます。また、複雑な計算や分析が必要な時も、Copilotキーを使ってAIの支援を素早く受けられるでしょう。このようにCopilotキーは、ユーザーとAI機能の間のシームレスなインターフェースとして機能し、作業の流れを妨げることなくAIの活用を支援してくれます。
AIパソコンの要件(Microsoft)
Microsoftが定義する最新の AI PC、Copilot+ PCの要件は以下の通りです。
- Microsoftが承認したCPU、もしくはSoC
※40TOPS(1秒当たり40兆回)以上の推論処理に対応したNPUの搭載 - 16GB以上かつDDR5・LPDDR5規格メモリ
- 256GB以上のSSD・UFSストレージ
これらの要件を満たすAIパソコンは、高度なAI処理に対応できます。上記の要件は、Windows 11の最小システム要件に加えられたものです。なお、Microsoftが販売する全てのCopilot+PCは、要件を満たしたAIパソコンとなります。
AIパソコンは従来のパソコンと何が違う?

AIパソコンは、従来のパソコンと比べて性能・機能・ユーザー体験の面で異なります。まず性能面では、AIパソコンはNPUを搭載しており、AI関連の処理を高速かつ効率的に行えます。従来のパソコンでは、AI機能の多くをクラウド経由で利用する必要がありましたが、AIパソコンはこれらの処理をローカルで実行可能です。例えば、大量の画像データを分析する際、従来のパソコンではクラウドサービスにアップロードして処理を待つ必要がありましたが、AIパソコンではローカルで素早く処理が完了します。
機能面では、AIパソコンはWindows CopilotなどのAI特化機能を標準搭載しています。これにより、文書作成や画像編集、プログラミングなどの作業が早くなり、ユーザーの生産性が飛躍的に向上します。例えば、複雑なスプレッドシートの分析や、長文レポートの要約が短時間で完了するでしょう。
ユーザー体験の面では、AIパソコンはより直感的で自然な操作が可能です。音声認識や自然言語処理の精度が高く、ユーザーの意図を理解し、適切なサポートを提供します。このように、AIパソコンは従来のパソコンと比べて、より高度で効率的な作業環境を提供し、ユーザーの生産性を引き出す強力なデバイスといえるでしょう。
AIパソコンを購入する利点とは??

AIパソコンを購入する利点は、以下の通りです。
- クラウドよりAI・生成AIの処理パフォーマンスが向上する
- AI利用時の消費電力が低下する
- ランニングコストの低下が期待できる
- 情報漏えいなどのセキュリティリスクが減少する
- オフィス業務を高速化できる
- 文章・画像・動画などのコンテンツ制作の高速化が実現できる
- AIの学習により利便性が向上する
各利点を詳しく解説します。
クラウドよりAI・生成AIの処理パフォーマンスが向上する
AIパソコンは、AI・生成AI処理の高速化が可能です。その理由は、NPUを搭載していることや、ローカル処理ができることが挙げられます。NPUが搭載されていない場合、CPUやGPUに負荷がかかり、パフォーマンスが低下してしまいます。NPUがAI処理を担当することで、CPUやGPUの負荷が軽減され、全体的なパフォーマンスの向上が可能です。
また、クラウド経由のAIサービスは、高性能なパソコンを使ってもサーバーの状態によっては素早い処理ができないことがあります。AIパソコンであれば、クラウドを経由しないためサーバーの状態に影響されません。インターネットにつながっていなくても素早く処理してくれます。そのため、画像や文章の生成などを効率化でき、生産性の向上に寄与してくれるでしょう。
AI利用時の消費電力が低下する
AIパソコンは、AI利用時の消費電力を抑えることができます。これは、AIパソコンがNPUを搭載しているためです。NPUはAI処理に特化した設計になっており、従来のCPUやGPUよりも効率的にAI関連のタスクを処理できます。例えば、画像認識や自然言語処理などのAI処理を行う際、NPUを使用すると、CPUやGPUを使用する場合と比べて消費電力を削減できるでしょう。また、AIパソコンは、タスクに応じて最適なプロセッサーを自動的に選択する機能を持っています。これにより、最小限の電力消費でパフォーマンスを発揮できます。結果として、バッテリー駆動時間の延長やコスト削減にもつながるでしょう。
ランニングコストの低下が期待できる
AIパソコンの導入により、長期的なランニングコストの低下が期待できます。有料のAIクラウドサービスを利用する場合、月額や年額の利用料が必要です。これらのサービスを継続的に利用すると、AIに対するトータルコストが増加します。一方、AIパソコンであれば、必要なAI機能をローカルで処理できるため、追加のランニングコストがかかりません。例えば、画像生成や音声認識などの機能を頻繁に使用する場合、AIパソコンでは無制限に利用できます。
もちろん、クラウド経由でしか利用できないサービスや機能もありますが、画像生成や文章生成などの基本的なAI処理を無料で利用できるのは大きなメリットです。
情報漏えいなどのセキュリティリスクが減少する
AIパソコンの使用は、情報漏えいなどのセキュリティリスクを軽減します。クラウドサービスを仕事で利用する場合、データが外部サーバーに送信されることによる情報漏えいリスクが存在するため注意が必要です。そのため、クラウドサービスの利用を制限している企業もあります。AIパソコンであれば、全ての処理をローカルで行うため、機密データをクラウドに送信する必要がありません。例えば、機密性の高い文書の分析や、社内の機密情報を含む画像処理などを、安全にオフラインで実行できます。このように、AIパソコンは企業の情報セキュリティポリシーに準拠しつつ、高度なAI機能を活用できる魅力的なデバイスです。
オフィス業務を高速化できる
AIパソコンは、オフィス業務の効率を飛躍的に向上させます。例えば、Microsoft Copilotを活用することで、複雑な表計算や文書作成が簡単になります。具体的には、データからAIが瞬時にトレンドを把握し、グラフ化することが可能です。会議の議事録作成では、AIが重要ポイントを自動的に要約してくれます。プレゼンテーション資料の作成時には、AIがデザインや文章を制作し、作業時間を短縮できるでしょう。さらに、メールの返信では、AIが文脈を理解し、適切な返信文を素早く提案してくれます。これらの機能により、作業時間が大幅に短縮し、より創造的な業務に多くの時間を割けるようになります。
文章・画像・動画などのコンテンツ制作の高速化が実現できる
AIパソコンは、コンテンツ制作のプロセスを高速化することも可能です。例えば文章生成では、AIがユーザーの指示に基づいて記事やレポートの下書きを短時間で作成し、人間は微調整やファクトチェックのみで公開可能な品質に仕上げられることもあります。画像制作においては、AIがスケッチやテキストから高品質な画像を生成し、デザイナーのイメージを素早く可視化できるでしょう。
動画編集では、AIが自動で最適なカット割りやエフェクト適用を提案し、編集時間を大幅に短縮します。講演動画をダイジェスト版に自動編集することも可能です。これらのプロセスをローカルで高速処理できるため、クラウドサービスに頼らず作業できます。結果として、クリエイターの生産性が向上し、より多くの高品質なコンテンツを短時間で制作できるようになります。
AIの学習により利便性が向上する
AIパソコンは、使用者のデータを学習することで、時間と共により精度の高いAI機能を提供します。AIは学習量が増えるにつれて推論の精度も向上し、ユーザーのニーズをより正確に予測することが可能です。例えば、文書作成では、文体や好みの表現を学習し、ユーザーにとってより自然な文章提案ができるようになります。スケジュール管理においては、ユーザーの行動パターンを学習し、より適切な時間配分や予定の提案ができるようになるでしょう。
今後は企業独自のAIシステム開発も活発化すると予想されます。自社開発のAIシステムとAIパソコンを組み合わせることで、自社の業務に特化した高度な機能の実現も可能です。このように、AIパソコンはユーザーや企業のニーズに合わせて進化し、長期的な価値を提供してくれます。
AIパソコンのビジネスにおける活用事例

AIパソコンは、以下のようなビジネスシーンに活用されています。
- 資料の作成
- 営業活動
- その他の業界
それぞれ具体的に解説します。
資料の作成
AIパソコンのCopilot機能は、資料作成の効率化に役立ちます。例えば、会議資料の作成では、Copilotに会議の議題と概要を伝えると、素早く資料の内容を作成してくれます。さらに、「各スライドに関連する画像を追加して」と指示すれば、AIが自動で適切な画像を選択し配置します。レポート作成時には、「この業界レポートを要約して」と指示すると、重要ポイントを抽出した簡潔な要約の作成が可能です。これらの機能により、資料作成にかかる時間が大幅に短縮されます。
営業活動
AIパソコンは営業活動のサポートにも役立ちます。例えば、新規顧客へのアプローチ前に、Copilotに「○○社の事業概要と財務情報を分析して」と指示すると、Web上の情報を迅速に収集・分析し、重要なポイントをまとめてくれます。これにより、顧客の課題や需要を事前に予測でき、的確な提案が可能です。
商談用のプレゼンテーション作成では、「当社製品の利点と○○社の課題解決方法をスライドにまとめて」と指示すれば、説得力のある資料を短時間で作成できます。また、商談後の議事録作成も、音声データからAIが自動で要点をまとめ、次のアクションプランの提案まで可能です。このように、AIパソコンは営業プロセス全体を効率化し、成約率の向上に貢献します。
その他にも多様な業界で活用が進められている
AIパソコンの活用は、さまざまな業界で急速に広がっています。自動車業界では、生産ラインの評価や運用の効率化に活用されています。また、画像認識による検査の自動化などにも活用されるなど、その用途はさまざまです。医療業界では、AIパソコンを用いて医療画像の分析を行い、早期診断や治療計画の立案を支援しています。自然言語処理によるカルテの解析や、AI搭載のロボット・医療機器の活用も広がっているようです。このように、AIパソコンは各業界の専門知識と組み合わさることで、革新的な問題解決と業務改善を実現しています。
AIパソコンの現在・未来

AIパソコンの導入を検討する際は、AIパソコンの現在と未来を認識しておくことも大切です。ここからは、AIパソコンの普及や課題などについて解説します。
AIパソコンはどれくらい普及している?(2024年)
AIパソコンの普及は、2024年現在ではまだ限定的です。ある市場調査会社の予測によると、2024年のAIパソコンの出荷は全体の2割弱と見込まれています。しかし、今後急速な成長が期待されており、2027年には半数を超える可能性があるとされています。
普及が進むタイミングとしては、企業向けパソコンの更新時期が考えられるでしょう。また、クリエイティブや研究開発など、恩恵の大きい分野でも早期の導入が見込まれます。一般消費者向けには、AIパソコンの機能や利点が広く認知されるにつれて、徐々に普及が進むと考えられます。ただし、現時点では従来のパソコンが市場の大半を占めており、AIパソコンはまだ黎明期にあるといえるでしょう。
AIパソコンの選択肢はまだ少ない
AIパソコンは2024年から本格的に普及し始めたばかりであり、従来のパソコンと比べて選択肢は限られています。現時点では、主要メーカーから数モデルが販売されている程度です。選択肢が少ないことによるデメリットとして、ユーザーの多様なニーズに対応しきれないことが挙げられます。例えば、ゲーミング向けの高性能AIパソコンや、17インチ以上の大画面モデルなど、特定のニーズに特化したモデルが少ない状況です。また、デザインや色の選択肢も限られており、個人の好みに合わせた選択が難しい場合があります。これらの制約は、AIパソコン市場の成熟に伴い徐々に解消されていくでしょう。
AI機能のローカル処理に対応したソフトウエアがまだ少ない
AI機能を存分に活用するには、AIパソコンに対応したソフトウエアが必要です。現状では、Copilotをはじめとするビジネス用途に特化したものや、クラウドで利用する生成AIソフトウエアなどが利用可能ですが、その数は限られています。既存のクラウドサービスも、AIパソコンの性能を最大限に引き出せるよう最適化されていない場合があります。ソフトウエアの数が少なければ、AIパソコンを導入したものの「自分の用途では活用する場面が少ない」というケースも起こり得るでしょう。
しかし、AIパソコンの普及に伴い、対応ソフトウエアの数と質は急速に向上すると予想されます。開発者がAIパソコンの潜在能力を活かしたアプリケーションを次々と生み出すことで、ユーザーの選択肢が広がっていくでしょう。
数年後にはAIパソコンが当たり前の世界になる可能性は高い
現在のAIパソコンは、市場シェアやソフトウエアの数が限られています。数年後には一般的な存在になる可能性が高いですが、現状では、AIパソコンは全ての人に必須というわけではありません。多くのAIユーザーは、クラウドサービスで十分満足しているケースが多いのではないでしょうか。
そのため、セキュリティを重視する企業や、Copilotをフル活用したいビジネスパーソン、クリエイティブワークやコンテンツ制作で頻繁にAIを使用している人々は導入を検討するとよいでしょう。
AIパソコンを選ぶ際のスペックは?チェックポイントを解説

AIパソコンを選ぶ際は、用途に合うスペックを選ぶことが大切です。AIパソコンの性能を最大限に引き出すためには、各パーツのバランスも重要な要素となります。以下の表で、主要なチェックポイントと推奨スペックを解説します。
スペック | 推奨 | 説明 |
---|---|---|
CPU | ・Intel Core Ultra ・AMD Ryzen AIシリーズ |
・パソコン全体のデータ処理を行う ・AI処理に特化したNPU内蔵のCPUを選択する |
メモリ | 16GB以上 | ・データの一時的な保存を行う ・AI処理には大量のデータを扱うため、多いほど有利になる |
GPU | ・内蔵GPU ・NVIDIA RTX ・AMD Radeon RX |
・主に画像処理を行う ・専用グラフィックボードに搭載されたGPUは、画像生成AIなどの処理を高速化する ・画像処理を利用しない場合は内蔵GPUを選択する |
ストレージ | 512GB SSD以上 | ・データの長期的な保存を行う ・512GBを目安に、画像や動画、その他ファイル量に応じて選択する |
画面サイズ | 13インチ以上 | ・作業効率や携帯性に影響する ・AIツールの操作性を考慮し、作業しやすいサイズを選択する ・携帯性を重視する場合は13~14インチを選択する |
バッテリー駆動時間 | 10時間以上 | ・AI処理は電力を消費するため、長時間駆動できる製品が良い ・自宅やオフィスでのみ使用する場合は10時間以下でも問題ない |
これらのスペックは、使用目的によって適切な選択が異なります。例えば、画像生成AIを頻繁に使用する場合は、より高性能なGPUが必要になります。また、大量のデータを扱う機械学習を行う場合は、メモリとストレージの容量を重視するとよいでしょう。
AIパソコンは魅力的だけど価格は高い…

AIパソコンは魅力的な機能を持ちますが、普及初期のため価格が高めです。従来型と比べると高価な傾向があり、多くのユーザーにとってはコストパフォーマンスが低く感じるかもしれません。AIの恩恵をあまり受けられない用途であれば、特に割高感が強くなります。現時点はクラウドサービスで十分な場合は、AIパソコンが普及して価格が下がり、ソフトウエアが充実した後の導入を検討するのも一案です。今すぐ買い替えを考えている人は、従来型のパソコンも含めて比較検討することをおすすめします。
NECの2 Days / 4 Years AIバッテリー搭載パソコン
「LAVIE Direct SOL」をレビュー

今回レビューするLAVIE Direct SOLは、「Z世代による、Z世代のためのパソコン」をコンセプトに開発された製品です。特徴的なのは、長時間駆動・長寿命が期待できるAIバッテリーや、Microsoft Copilotキーを搭載していること。AIを手軽に利用できることで、学習や仕事の効率化が期待できます。ここからは、LAVIE Direct SOLのスペックや実際に使用してみて感じた魅力、Microsoft Copilotの使い心地などをレビューします。
※LAVIE Direct SOLにNPUは搭載されていません。
「LAVIE Direct SOL」のスペックをチェック
LAVIE Direct SOLは、スペックをカスタマイズできるBTO(Build To Order:受注生産)パソコンです。CPUは、2種類のコアを搭載して処理の効率化を図った、第13世代のIntel Core iシリーズから選択できます。メモリは8~32GB、SSD(PCIe)は256GB~2TBの範囲から、好みの構成を選べます。自分の使い方に合ったスペックを構築できるのはうれしいポイントですね。
ディスプレイは、13.3型ワイド スーパーシャインビューLED IPS液晶(WUXGA: 1920x1200)。モバイルサイズのパソコンはWUXGAで十分な精細感を得られるので、非常にキレイに見えます。また、広視野角・高輝度・高色純度・タッチパネル対応なので、質感や使用感も良好です。
LAVIE Direct SOLの詳しいスペックは、下の表を参考にして下さい。
ディスプレイ | 13.3型ワイド スーパーシャインビューLED IPS液晶 (広視野角・高輝度・高色純度・タッチパネル) (WUXGA: 1920x1200) |
||
---|---|---|---|
CPU(プロセッサー) | Core i7-1355U | Core i5-1335U | Core i3-1315U |
メモリ | 32GB/16GB | 16GB/8GB | 16GB/8GB |
SSD(PCIe) | 2TB/1TB/512GB/256GB | ||
カメラ | フルHD・IRカメラ | ||
インターフェイス | USB 3.2 Gen2(Type-C)×3 ヘッドフォンマイクジャック×1 |
||
キーボード | 標準キーボード(Copilotキー/LAVIE AI Plusキー搭載) | ||
マウス | Bluetoothマウス(ホワイト)/Bluetoothマウス(ブラック)/なし | ||
無線LAN | Wi-Fi 7対応ワイヤレスLAN(IEEE802.11be対応) | ||
生体認証 | 顔認証(Windows Hello対応) | ||
重量 | 約1,197g | ||
バッテリーライフ | 動画再生時 約10.8時間・アイドル時 約23.2時間 | ||
OS | Windows 11 Pro/Window 11 Home | ||
Microsoft Office | Microsoft 365 Basic+Office Home&Business 2024/なし | ||
サービス | デジタルライフレスキュー(3ヶ月)(6ヶ月)(1年)/なし | ||
保証 | 1年間保証/メーカー保証サービスパック3年版/4年版/5年版 あんしん保証サービスパック3年版/4年版/5年版 |
||
カラー | プラチナシルバー/ムーンブラック/フェアリーパープル | ムーンブラック |
「LAVIE Direct SOL」の魅力についてレビュー
続いて、LAVIE Direct SOLの使い心地や質感、機能性などをチェックしていきます。
シンプル&スタイリッシュなデザインで持ち出したくなる!
LAVIE Direct SOLは、装飾を極力省いたデザインを採用していて、とにかくシンプルでスタイリッシュです。天板にはLAVIEのロゴがあるのみで、端正な印象を受けます。側面はUSB Type-Cとイヤホンジャックのみで統一感があり、底面もネジや通気孔がなくすっきりとしています。ディスプレイを開いてもその印象は変わりません。NECのプリントのみで、無駄な表記は一切ないのが好印象です。
ディスプレイを開いて気付いたのですが、スピーカーが見当たりません。音を出して確認してみると、底面の手前側に設置されていました。底面といっても、スピーカーが取り付けられている箇所は傾斜が付いているので、音声はきちんと耳に届きます。このような細かい点からも、シンプルさへのこだわりが感じられますね。飽きのこないデザインなので、長く付き合えるノートパソコンという感想です。
シルクタッチコートとゴリラガラスの採用で質感が高い!
長く使うなら、本体のコーティングや質感も大切ですよね。LAVIE Direct SOLは、天板・パームレスト面・底面にNEC独自の「シルクタッチコート」を採用しているとのこと。汚れの密着力が弱くなるので、指紋汚れがふき取りやすい・すりキズがつきにくい・手触りが心地よい、などのメリットがあるようです。実際にクロスで拭き取ってみたところ、指紋が目立ちやすいブラックカラーなのにも関わらず、数回の往復で指紋をキレイに拭き取れました。触り心地もサラッとしていながら滑らかで、高級感を覚える質感です。キーボードやタッチパッドには「防指紋コーティング」がされており、繰り返し触る部分のお手入れもしやすくなっています。
ノイズレスキーボードと大型タッチパッドが使いやすい!
LAVIE Direct SOLは、キーボードとタッチパッドの使用感も良好でした。キーボードはひらがなの刻印がないノイズレスキーボードで、とても見やすい印象です。タイピングをしてみたのですが、クリック感の中に柔らかさも感じ、気持ちよくタイプできました。手持ちのMacBook Airと比べても、感触が良くタイピング音も静かです。会議や講義などで使う時も、それほど気を使わずに使用できそうですね。
タッチパッドは大型で、マウス無しでも全く問題なく使えました。タップするだけで左クリックの役割を果たしますが、誤動作が気になる場合、押し込み操作に切り替えることも可能です。外付けのキーボードやマウスを使わなくても快適に操作できるので、モバイルパソコンとしての性能が高い製品といえるでしょう。
バッテリーのヘタりを防止する「LAVIE AIバッテリー技術」で長く使える!
モバイルノートパソコンは、バッテリー駆動時間も大切な項目です。すぐにバッテリーが切れたりヘタったりする製品では使いにくいですよね。その点、LAVIE Direct SOLはAIバッテリー技術を搭載していて、長時間のバッテリー駆動と長寿命を実現しています。AIが持ち主の行動やその日の予定終了までのバッテリー残量を予測し、効率的な運用をしてくれるというものです。
具体的なバッテリー駆動時間は、JEITA3.0での測定で23.2時間(アイドル時)、実駆動時間は14.4時間と、従来モデルと比べてもかなりの長時間駆動です。大学生の1日のパソコン利用を7時間と想定すると、2日程度なら充電なしで対応できそうですね。
※実駆動時間は、大学生の1日のパソコン使用状況を想定して、Web閲覧やMicrosoft Officeを使用した時間(画面オフやアイドル状態を含む)をロングバッテリーモードをオンにして測定。
「つながる!LAVIE」でスマホやタブレットと連携しやすい!
「つながる!LAVIE」は、パソコン同士やAndroidタブレット、iPhoneなどと手軽に連携できる機能です。例えば、Androidタブレットをセカンドモニターとして接続したり、iPhoneとURLやファイルの共有ができたりします。タブレットやiPhoneで撮影した写真や動画をパソコンに転送できるので、データの管理や編集がしやすくなりますね。パソコンを買い替えた時のデータ移行にも使えるので、手間も省けます。
現在は一人で複数のデバイスを所有するのも珍しくありません。データの管理が煩雑になりやすい環境なので、シームレスにデータ共有ができる機能は、デジタルデバイスを使う上で多くのメリットがあるでしょう。
ワンタッチキーが豊富で利便性が高い!
LAVIE Direct SOLは、アプリを簡単に起動できるワンタッチキーが豊富です。具体的には、Microsoft CopilotキーやYouTubeキー、カメラキーやLAVIE AI Plusキーなどがあります。ワンタッチキーがあると、わざわざタスクバーのアプリをクリックしたり、検索窓に入力したりする必要がなく、すぐに起動できるので非常に便利ですね。
特に、Microsoft CopilotキーやYouTubeキーは学習や仕事で使うことも多いので、ワンタッチで起動できるのはうれしいポイントです。LAVIE AI Plusは、マニュアルやサポートQ&A、パソコンの状態などを含むデータベースを基に、生成系AIが自動回答してくれるアプリです。パソコンに関するお悩みをすぐに解決できるので、初めてパソコンを購入する人でも安心ですね。
「LAVIE deco」で気分に合わせて着せ替えできる!
「LAVIE deco」は、壁紙やアイコン、マウスポインターなどを1クリックでカスタマイズできるアプリです。お気に入りのデザインでパソコンを操作できると、モチベーションもアップしそうですね。壁紙やアイコンなどをまとめて変えられるので、手間もかかりません。インポートしたスタイルも表示できるので、納得のいくデザインにできそうですね。本体のカラーと合わせて、壁紙などのデザインでも楽しめるところがLAVIE Direct SOLの魅力です。
また、LAVIE Direct SOL専用のケースも提供予定のようです。スマホケースなどを販売しているcaseplayとのIPコラボケースになっていて、数百種類から選べるとのこと。ハード・ソフト共にカスタマイズ性が高く、個性を出しやすいノートパソコンですね。
「LAVIE Direct SOL」でMicrosoft Copilotを使ってみた
Microsoft Copilotとは、AIアシスタントを搭載した効率化ツールです。前述した通り、LAVIE Direct SOLにはMicrosoft Copilotキーが搭載されていて、オンライン状態であればワンタッチで起動できます。Copilotでは、例えばメールの返信を考えてもらう、画像を生成してもらう、食事のメニューを考えてもらうなど、多様な活用方法があります。今回は、画像の生成を試してみました。
まずは、Microsoft Copilotキーを押して起動させます。すると、使い方の例が表示されるので、何を聞いてよいか分からない人は参考にしてみるとよいでしょう。画像を生成するには、画面下の「Copilotへメッセージを送る」の欄に入力します。次のような内容で指示してみました。
「公園で遊んでいる大型犬をイメージした画像を生成して下さい。」
すると、下のような画像が生成されました。

画像の生成だけでなく、イメージ通りの画像を生成するためのアドバイスをしてくれることもあります。とてもきれいでイメージに近い画像だったのですが、犬種を変えたかったので、「犬種をラブラドールに変えて下さい。」と指示したところ、きちんと反映されていました。

生成までの時間も10秒程度だったので、サクサクとほしい画像を生成できます。画像生成の他にも、文書作成やアイデアの壁打ちなど多様な用途に使用でき、大きな可能性を感じました。
以上、LAVIE Direct SOLの使用レビューでした。本体の完成度はもちろん、スペックのバランスやZ世代にぴったりな機能など、たくさんの魅力を持つノートパソコンです。
AIパソコンは生産性・セキュリティの向上が期待できるデバイス!
AIパソコンは高性能なAI処理能力を持ち、業務効率化やクリエイティブ作業のサポートなど、多様な可能性を秘めた次世代のコンピューターです。NPU搭載により、ローカルでの高速AI処理が可能になり、セキュリティ面でも優れています。ただし、現時点では選択肢が限られ価格も高めです。導入を検討する際は、自身のニーズとコストパフォーマンスを十分に吟味し、長期的な視点で判断しましょう。NECでは、多様なスペック・機能のパソコンを販売しています。お得なクーポンの発行なども実施しているので、ぜひ公式サイトで確認してみて下さい。
NECの公式サイトはこちら

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