GPU(グラボ)の適正な温度とは?
温度の確認方法や改善策を解説
2025.09.29(MON)
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グラボには適正温度があり、その温度を超えるとパフォーマンスの低下や故障の原因となるリスクがあります。温度が高過ぎる場合、グラフィック処理が遅れたりシステム全体が不安定になったりするため注意が必要です。温度が上がる原因を特定し、それに対する改善策を講じることで温度上昇を防ぐことができます。この記事では、グラボの適正温度や温度の確認方法、温度が上昇する原因とその改善策について詳しく解説します。
GPU(グラボ)の適正温度とは?安全な使用のための目安を解説
グラボの適正温度は製品ごとに設定されています。ここでは、メーカー仕様の最高温度とその意味や、アイドル時と高負荷時の温度の目安について解説します。
メーカー仕様の最高温度とその意味
グラボは製品によって正常に動作する温度の上限として設定される最高温度が異なります。以下は、NVIDIAの最高温度を示した表です。
| メーカー | モデル名 | 最高温度(℃) |
|---|---|---|
| NVIDIA | GeForce RTX 3070 | 約93 |
| NVIDIA | GeForce RTX 4060 | 約90 |
| NVIDIA | GeForce RTX 5080 | 約88 |
これらの最高温度は、各グラボの設計上の許容範囲を示しており、冷却システムが正常に 機能していることを前提としています。上記の温度を超えると不具合が起きるリスクが高 まるため注意が必要です。
アイドル時と高負荷時の温度目安
グラボの温度は、使用状況によって大きく変動します。具体的には、アイドル時と高負荷時で適正温度が異なるため、理解しておくことが重要です。アイドル時、つまりパソコンがほぼ作業をしていない状態では、グラボの温度は30~40℃が目安とされています。この温度帯は、冷却システムが正常に機能していることを示しているため問題ありません。高負荷時、例えばゲームプレイや動画編集などでは、GPUの温度は80~90℃が適正とされています。この範囲内であれば、グラボは設計通りの性能を発揮し、過熱による不具合のリスクも低減します
しかし、これらの温度を超えるとグラボの性能が低下したり、最悪の場合は故障の原因となる可能性があるため注意が必要です。GPUのコンデンサは温度が10℃上昇するごとに寿命が半分になるといわれているため、原因を突き止め対策を講じなければなりません。
GPU(グラボ)の温度を確認する方法
グラボの温度を確認する方法は「Windows 11のタスクマネージャー」を使う方法と、「外部ソフト」を使う方法があります。ここでは、それぞれの概要について解説します。
Windows 11のタスクマネージャーで温度を確認する手順
Windows 11では、タスクマネージャーを使用してGPUの温度を確認できます。タスクマネージャーとは、パソコンで動作中のプロセス、アプリの状況などを管理・監視するツールです。グラボの温度を確認する詳しい手順は、以下の通りです。
1.「スタートボタン(Windowsマーク)」を右クリックして「タスクマネージャー」を選択する
2.左側の「パフォーマンス」タブをクリックする
3.左側のリストから「GPU」を選択する
4.右側に表示される「GPUの温度」を確認する
この方法では、GPUの現在の温度をリアルタイムで確認できますが、過去の温度履歴や詳細なセンサー情報は表示されません。
外部ソフトでも温度を確認できる
より詳細なグラボの温度情報を確認したい場合、以下の外部ソフトウエアを使用する方法もあります。
- MSI Afterburner
グラボの温度だけでなく、ファンの回転数やクロック数、使用率などもリアルタイ ムで表示できる - GPU-Z
グラボの詳細な情報を表示するツールで、温度やメモリ使用量、クロック数などを 確認できる
これらのソフトウエアを使用することで、グラボの詳細な状態を把握し、適切な温度管理が可能となります。ただし、外部ソフトの利用には一定のリスクがあるため、ソフトウエアの安全性を十分に確認した上で利用を検討しましょう。
GPU(グラボ)の温度が高過ぎるとどうなる?リスクと症状を解説
グラボの温度が高過ぎるリスクと症状は、以下の通りです。
- ファンが高回転し騒音が増加する
- サーマルスロットリングで性能が低下する
- システムが不安定になり強制シャットダウンする
- パーツが劣化して故障しやすくなる
それぞれ詳細に解説します。
ファンが高回転し騒音が増加する
グラボの温度が上昇すると、冷却ファンはその熱を排出するために高回転し、結果として騒音が増加します。特に高負荷の状態はファンが急速に回転し始めるため、音が大きくなります。この騒音により集中力に悪影響を及ぼすことがあり、長時間の使用ではストレスを感じる原因となるでしょう。特に、周囲が静かな環境で作業していると、ファンの音が気になることが多く、快適に使用するためには冷却システムの調整や静音対策が必要になります。
サーマルスロットリングで性能が低下する
サーマルスロットリングは、グラボを過熱し過ぎると自動的に性能を制限する機能です。グラボが一定の温度を超えると、温度を下げるためにクロック速度や電力が制限されます。これにより熱暴走などのリスクは低下するものの、ゲームや動画編集などのグラフィック処理が遅くなり、フレームレートの低下や処理速度の遅延が発生します。高負荷の作業を行う場合、この機能により性能が低下するためスムーズな動作が難しくなるでしょう。
システムが不安定になり強制シャットダウンする
グラフィックボードが過度に熱くなると、システム全体の安定性が損なわれることがあります。グラボが高温になると、パソコンはハードウエアを保護するために自動的にシステムをシャットダウンすることがあります。これは、熱によるさらなる損傷を防ぐための保護機能です。強制シャットダウンや再起動が発生すると、作業中のデータが失われる可能性もあり、安定した使用が難しくなります。こうしたリスクを防ぐためには、温度管理をしっかりと行い、過熱を防ぐことが重要です。
パーツが劣化して故障しやすくなる
グラボが長時間高温状態にさらされると、内部のコンデンサや基板が劣化し、パーツが故障しやすくなります。温度が高い状態が続くと、電子部品に負担がかかってしまうからです。これにより、グラボのパフォーマンスが低下したり、最悪の場合、完全に故障することが考えられます。ハイスペックなグラボは10万円以上することもあり、故障した場合は修理や交換には高額なコストがかかるため、定期的に冷却システムのチェックや温度管理を行うことが大切です。
GPU(グラボ)の温度が上がる原因と改善策
グラボの温度が上がる原因は、以下の通りです。
- 冷却ファンの故障やホコリの蓄積
- 室温や設置環境の影響
- 高負荷な作業や長時間の使用
- パソコンの性能不足
- サーマルペーストの劣化
各原因の詳細と対策方法について解説します。
※パソコン内部を扱う場合はパーツの故障や感電に十分注意して下さい
原因:冷却ファンの故障やホコリの蓄積
グラボの温度が上昇する主な原因の1つは、冷却ファンの故障やホコリの蓄積です。冷却ファンは、グラボの熱を効率的に排出する重要な役割を担っています。ファンが故障していたり、ホコリが溜まっていたりすると、冷却効率が低下するため危険です。熱がこもり、グラボの温度が上がりやすくなります。ファンが正常に動作しているか目視で確認し、ホコリが溜まっていないかを定期的にチェックすることが必要です。ホコリは特にファンやヒートシンクに溜まりやすいため注意しましょう。
改善策:定期的な清掃・メンテナンス
冷却性能を維持するためには、定期的な清掃が重要です。エアダスターやブラシを使って、グラボ周辺やファン、ヒートシンクなどの掃除を行いましょう。定期的な清掃は冷却効率を高めるだけでなく、グラボの寿命を延ばすことにもつながります。目安としては、3〜6ヶ月に一度の頻度で掃除することをおすすめします。パソコン内部の掃除になるため、静電気手袋を使うなど故障のリスクには十分注意が必要です。ノートパソコンは分解が難しいため、エアダスターで外部からの清掃を心がけましょう。
原因:室温や設置環境の影響
グラボの温度が上がる原因には、室温やパソコンの設置環境も関係します。特に夏場やエアコンが効いていない部屋では、室温が上がり、グラボの冷却が追いつかなくなることがあります。加えて、パソコンを狭い場所や通気性の悪い場所に設置すると、熱がこもりやすく冷却効果が十分に発揮されません。このような環境下で長時間使用を続けると、グラボの温度が高くなり、性能に悪影響を及ぼす恐れがあるため温度管理や設置場所の見直しが必要です。
改善策:室温の管理と設置場所の見直し
室温の管理や設置場所の見直しによって、グラボの温度を効果的に下げることができます。エアコンや扇風機を活用し、室温は10~35°以下、湿度は20~80%の間に保つことが理想的です。また、パソコンを風通しの良い場所に設置し、周囲に十分なスペースを確保することも対策になります。熱がこもらないように、パソコンを壁から少し離して設置し、通気口が塞がれないようにしましょう。これにより、効率的に冷却されグラボの温度上昇を防ぐことができます。
原因:高負荷な作業や長時間の使用
ゲームや動画編集などの高負荷作業や長時間にわたる使用が続くと、グラボの温度は上昇しやすくなります。グラボの使用率が高い状態が続くと、冷却システムがその熱を十分に排出できず、温度が高くなりがちです。温度が上がり過ぎるとパフォーマンスが低下すると共に、さらに温度が高くなりシステムの安定性に悪影響を与えます。その結果、処理速度の低下やパーツの劣化につながる恐れがあるため注意が必要です。
改善策①:定期的な休憩
長時間の高負荷作業中は、定期的に休憩を挟むことがグラボの温度管理に効果的です。具体的には、1時間ごとに5〜10分程度の休憩を取ることでグラボの温度が上昇しにくくなります。休憩中にパソコンの冷却を促進するため、ケースの蓋を開けて空気の流れを良くすることも有効です。この休憩は、グラボのパフォーマンスを維持するだけでなく、その他パーツや目の負担軽減にも効果があります。
改善策②ゲーム中の温度のリアルタイム表示
ゲーム中にグラボの温度をリアルタイムで監視することは、温度管理で非常に有効です。MSI AfterburnerやGPU-Zなどのソフトウエアを利用すれば、ゲームをしながら温度、ファ ンの回転数、使用率を確認できます。リアルタイムで温度を監視することで、急激な温度上昇時に適切な対応を取れます。高負荷のゲームプレイは温度が上昇しやすいため、こうした監視ツールを使うことで温度管理がしやすくなり、安定したパフォーマンスを確保できるようになるでしょう。
改善策③:ファン回転数の設定調整
グラボの温度を効果的に管理するためには、ファンの回転数を調整することも効果的です。多くのグラボには、ファンの回転数を手動で設定できる機能があります。例えば、AMDのソフトウエアやMSI Afterburnerなどのソフトを使用することで、ファンの回転数や回転カーブ、オーバークロックの調整が可能です。これにより、グラボが高温になることを事前に防止したり、冷却性能を向上させたりできます。ただし、回転数を増加させ過ぎると音が大きくなるため、適切なバランスを取ることが重要です。
改善策④:GPUのパワー制限・メモリクロックの調整機能の使用
グラボのパワー制限やメモリクロックを調整することで、発熱を抑えることができます。これらの設定は、特に高負荷作業時に有効です。パワー制限を調整することで発熱量が減少し、グラボの温度を下げることができます。また、メモリクロックを調整することで、グラボの処理能力は若干低下しますが温度管理がしやすくなります。その他には、サーマルスロットリングが発生する温度を下げることも効果的です。これらの調整はグラボの温度上昇を防ぎ、システム全体の安定性を確保するために役立ちます。
原因:パソコンの性能不足
古いパソコンやエントリーモデルのパソコンでは、冷却性能が不足している場合があります。冷却ファンが性能的に不足していたり、ケース内のエアフローが不十分なことが原因で、グラボの温度が上昇しやすくなることがあるため注意が必要です。古いパソコンでは、パーツの劣化や冷却システムの限界が影響し、十分な冷却ができないことがあります。性能不足のまま高負荷な作業を行うと、グラボの温度が急激に上昇し、システムの安定性に影響を与えることになるでしょう。
改善策①:冷却ファン・パソコンケースを交換する
冷却性能を向上させるためには、高性能な冷却ファンに交換することが効果的です。冷却ファンは、熱を効率的に排出するために重要なパーツです。冷却ファンによる冷却効率が上がると、グラボの温度上昇を抑制できます。また、通気性の良いパソコンケースに交換することで、内部のエアフローが改善され冷却効率が向上します。ケースに取り付けるファンの数や配置も重要な要素なので、それらを考慮して製品を選ぶとよいでしょう。
改善策②:パソコン(PC)を買い替える
現在使用しているパソコンが性能不足でグラボの温度が上昇しやすい場合、最新のパソコンに買い替えることで問題を解決できます。新しいパソコンは冷却性能が向上しており、高負荷な作業でも安定した温度を維持することが可能です。また、最新のパソコンでは冷却システムの設計がより最適化されており、グラボのパフォーマンスを最大限に引き出せる可能性が高まります。さらに、他のパーツも新しくなるため、パソコン全体の処理速度が向上するのもメリットです。
原因:サーマルペーストの劣化
サーマルペーストは、グラボとヒートシンクの間に塗布され、熱を効率的に伝える役割を果たします。しかし、長期間使用しているとサーマルペーストの劣化により熱伝導効率が低下し、その結果グラボの温度が上昇しやすくなります。パソコンを長時間使用している場合、サーマルペーストの劣化が進行しやすく、冷却効果が低下するため要注意です。定期的にチェックして対策を講じる必要があります。
改善策:サーマルペーストの塗りなおし
古くなったサーマルペーストを取り除き新しいものに塗りなおすことで、熱伝導効率を回復させることができます。まず、グラボからヒートシンクを取り外し、グリスクリーナーを使って古いサーマルペーストを丁寧に拭き取ります。その際、周辺の基盤などに付いているホコリを柔らかいブラシなどで取り除きましょう。その後、新しいサーマルペーストを適量塗布し、ヒートシンクを元に戻すと完了です。サーマルペーストの量が多過ぎると周囲にはみ出し、故障の原因になるため注意しましょう。この作業により、グラボの温度上昇を抑制できます。
GPU(グラボ)の温度が高過ぎるのは危険!確認・対策でリスクを軽減しよう
グラボの温度管理は、パソコンのパフォーマンス維持と劣化防止にとても重要です。温度が高過ぎるとファンの騒音が増加したり、サーマルスロットリングでパフォーマンスが低下することがあります。また、高温が続くと、システムが不安定になったりグラボ自体が故障したりするリスクもあるため注意しましょう。これらの問題を防ぐためにも、冷却システムのチェックや設定変更などを実行してみて下さい。NECは、スペックを目的に合わせてカスタマイズできるBTO(Build To Order)パソコンを販売しています。性能不足による買い替えを検討している人は、ぜひ下記の公式サイトで詳細をチェックしてみて下さい。
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